2017年8月4日金曜日

リヒテルズ直子,「オランダの個別教育はなぜ成功したのか イエナプラン教育に学ぶ」

教育問題の原因について
「今の日本の教育議論では,教育問題の原因をすべて先生の能力の低さによるもの,と決めつけてしまうことが大変多いように思います。」
「学校制度のについて根底から見直し,教員の専門性と自由裁量権の保証について抜本的な改革を行うべきです。」
これについては,大いに賛成したい。周りの先生からも,もっとこうやりたいのに実際は実行に移せないという話をよく聞く。法規で決まっているものよりも,学校ごとや市町村ごとのローカルなルール(多くは慣習的なもの)が多い印象もある。
自分たちで変えられるという経験を教職員が率先して実感すべきだと思う。そうしてから,地域や保護者,児童生徒が加わり,ガバナンスに優れた学校づくりができると思う。

「個別教育では,画一教育に比べて子どもの進度に合わせやすい」
これが,個別教育のメリットとして最も大きなものではないだろうか。知識を伝達するという意味で教える側の都合からの発想ではなく,学習者側にとって都合がよく,効率的な状態にしやすいと思う。
また,生徒とのコミュニケーションも必要に応じて行なえるので,私としてもやりやすいと思う。

「個別教育を可能にしているのは,『個別指導』をするだけに留まらず,そのほかに『自立学習』と『共同学習』の場を確保し,授業の中でこれらを組み合わせて上手に取り入れているからだ」
「オランダでは,個別教育のことをよく,『サイズに合った教育』といいます」
この3つをうまく組み合わせるためには,教員の専門性は知識や技能の伝達ではないということが分かるはず。
合わせてることでうまく機能しているのが,「習熟度モニター制度」だ。

「筆記試験で測定できる能力だけで複数の子どもを比べたり,学校平均を出してランクづけたりするものではありません」
「それぞれの能力がどれほど発達しているかを確認するものです」
では,これをどのようにやっているのか。それが気になる。オランダでは,客観的で信憑性のあるものであれば,各学校が自由に選択できることになっている。
しかし多くの学校が,テスト開発センター(CITO)がICTを活用して開発した生徒モニターシステムを採用している。CBTで行うのはいいと思う。定期的に自主的にチェックするのもありだと思う。気になるのは,技能系のものは,どうやって評価しているのか。

中等教育改革の事例:スタディハウス
「『習うから学ぶへ』の改革といわれるように,教員から授業を受ける形態を減少させ,生徒自身が,教科書や参考書を読みながら,また,自分で情報を収集しながら自立的に学ぶという授業形態を大きく増やした」
「教員は,教壇から教える時間を最小限に留め,自立的に学習している生徒の自発的な質問を受け,必要に応じてアドバイスを与える,という役割を担っています」
初等教育の段階で,自立学習と共同学習のやり方が分かっていれば,中等教育,高等教育において,教員が支持することはほとんどなくなるだろう。アドバイザーやファシリテーターとしての役割に従事することが考えられる。



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